研究開発

私達は、お客様に美味しい果実を安定してお届けすることを使命としています。そのために様々な取り組みをしていますが、その中で最も難しいのが果実を“美味しく熟成させる”ことです。
特に、バナナ、キウイ、アボカド等、いわゆる追熟型の果実は難しい。保冷倉庫があるからといって冷やしてばかりいると熟成が進まず、“棚持ちはするがあまりおいしくない”果実になってしまいます。だからと言って温めすぎると過熟となり商品価値が下がります。注意すべきは温度だけではありません。加温や冷却のスピード、追熟時の倉庫内湿度・温度、流通時間等、追熟に影響を及ぼす要素は多数あります。しかもこれらの要素がおいしさにどの程度影響しているのか、未だに詳しくはわかっていません。
どの要素のどの数値に注目したら美味しく追熟できるのか、その原理を解明したい。解明して、常に“美味しく熟成した果実”をお客様の手元に届けたい。その一心で、私達は“追熟方法”について日々研究開発に取り組んでいます。マニアックすぎるのかもしれませんが、これは果実を扱う私達の使命だと思っています。

バナナの追熟加工実験室

バナナの追熟加工方法は、差圧加工室をコンピューター制御する差圧加工方式の開発によりほぼ確立されたと言われていますが、本当にその方式がバナナの追熟に最適なのか、実は誰も証明できていません。経験的にその方法が一番良いと思っているだけです。もしかすると、実は他により糖度を上げ棚持ちもする加工方法が存在するのかもしれない。当社では、新しい加工方法を探し出すべく、二酸化炭素やエチレン等の濃度センサーを内蔵し、全てコンピューター制御されたバナナ追熟加工用小型実験室を作りました。この実験室では室内環境を常に一定に保つことができるので、ノイズの少ない実験データが得られます。ここで得られたデータで興味深いものは、

社内だけでなく大学等の専門機関にも分析を依頼するなどして、
バナナ追熟に対する知見を深めています。

特許第4318230号
<2段熟成加工>

当社の研究開発から生まれた新しいバナナ追熟加工方式のひとつが<2段熟成加工>です。これまでバナナの追熟加工は、いかに果肉温度をコントロールするかに主眼が置かれていました。しかしこの新しい加工方式は、追熟加工の途中で全ての温度制御を止め、バナナが自然に追熟する工程を取り入れています。別の表現をすれば、いかに“コントロールしない”かに重点を置いた加工方式です。
その結果、従来の方式に比べ、糖度が増しつつ棚持ちはほとんど変わらないバナナが追熟できるようになりました。平成21年6月5日、当社はこの加工方式(2段熟成加工方式)の特許を取得しました。

特許第4318230号<2段熟成加工>

バナナの追熟および 追熟加工用制御システム

特許第5268172号
<2温熟成加工>

当社では月に1回加工会議を開き、追熟加工について意見交換をしています。ある会議で、果肉の制御について意見を交わしていたとき、ふと、これまでのとは真逆のやり方でも追熟できるのではないかという面白いアイデアが出ました。これまでの方式では室内温度を段階的に下げるため、細かな温度管理が必要でしたが、新しい方式の室内温度は20℃と13℃の2種類のみ。あとはバナナに当てる風量を制御するだけで追熟するという、従来の方式とは180度違う制御方式でしたが、理論的には十分可能なはず。そこで早速実験室でテストしたところ、大きな問題なく追熟できることが分かりました。<2温熟成加工>と称したこの新しい加工方法は、その後室内の湿度が年間を通じて比較的高く保てることや、果肉温度の制御が従来方式より細かくできることが判明し、より高品質のバナナが追熟できるようになりました。平成25年5月17日、当社はこの加工方式(2温熟成加工方式)の特許を取得しました。

ページトップへ

QLOOKアクセス解析